2011年3月26日土曜日

[TGS 2009]「コーエー ネットエンターテインメント

 TGS 2009の初日である9月24日,会場内コーエーテクモブースに設置された特設ステージにおいて,ステージイベント「コーエー ネットエンターテインメントフェスタ 2009」が開催された。
 このイベントは,同社のオンラインゲーム各タイトルの牽引役であるプロデューサー達が一堂に会して,それぞれの作品の紹介を行ったり,ユーザーから寄せられた質問に答えたり,ときには重要な発表を行ったりするもの。昨年と一昨年のTGSでも同様のステージが行われており,TGSの同社イベントの定番となってきた感がある。

 今回は,「信長の野望Online」開発プロデューサー渡辺知宏氏,「大航海時代Online」運営プロデューサー渥美貴史氏,「真?三國無双Online」開発プロデューサー藤重和博氏,「三國志Online」運営プロデューサー上野彰三氏の四氏に加え,「DOA ONLINE」の開発プロデューサーである梁取和彦氏も登場し,登場した5名のプロデューサーがステージ上に並んだ。

渡辺知宏氏
渥美貴史氏
藤重和博氏
上野彰三氏

梁取和彦氏
 登場した5名のプロデューサーは,それぞれ自身が手がけるオンラインゲームの基本的な説明や,最近のアップデートなどについて語っていった。今回初登壇となるDOA ONLINE開発プロデューサー梁取和彦氏は,DOA ONLINEの開発状況について,「日本にはデッド オア アライブのことをよく知ってくれているファンが多い。そういう人たちにも楽しんでもらえるように,現在は日本ならではの要素の追加や調整を行っているところだ。DOA ONLINEはそれらをしっかりと盛り込んでからリリースしたい」と,日本サービスに向けての基本方針を語った。



 その後イベントは,このネットエンターテインメントフェスタの定番コーナーともいえる「プロデューサーに訊け!」へと移った。これは事前に寄せられたコーエーオンラインゲームのユーザーからの質問に,各プロデューサーが直接答えるというものだ。以下に挙げられた質問とその返答を列記していこう。

「信長の野望Online」への質問:
次の拡張パックはいつ出るんでしょうか?

渡辺プロデューサーの回答:
現在開発中である,ということを(自身にプレッシャーをかける意味で)ここで明言します。遠くないうちに内容を発表できる予定です。

「真?三國無双Online」への質問:
他コンテンツとのコラボレーションや,関連商品の販売などは考えていますか?

藤重プロデューサーの回答:
これまでに行ってきた映画「レッドクリフ」やアニメ「蒼天航路」などとのコラボレーションは,ユーザーの皆さんに喜んでもらえたようです。今後もコラボレーションは積極的に行って,ゲームを盛り上げていきたいと思います。

「大航海時代Online」への質問:
東アジア実装でさらに世界が広がり,人が分散する可能性がありますが,プレイヤー同士の交流が減ったりしないでしょうか?

渥美プロデューサーの回答:
まず運営側が主催するイベントを積極的に行っていきます。さらに「遺跡」や「ダンジョン」などの実装を,ヨーロッパに近いところからも行っていきます。そうすることで初心者プレイヤーとベテランプレイヤーとの間にも,うまく交流が生まれるのではないかと考えています。

「三國志Online」への質問:
皆で遊べる合戦なども楽しいですが,一人でも遊べる要素も追加されないでしょうか?

上野プロデューサーの回答:
先頃行った「蒼天航路」関連のイベントはソロでも楽しめるようになっていました。今後行われるイベントも,ソロでのプレイが可能なように,また大人数でも楽しく遊べるようなものにしていきたいと思っています。

「DOA ONLINE」への質問:
大会などの開催は予定していますか?

梁取プロデューサーの回答:
予定しています。実はすでにサービスが行われている中国バージョンや台湾バージョンでは,大会がさかんに行われています。日本でもサービス開始後にはそういった大会を行って,ゆくゆくは世界大会なども行えるといいですね。

「真?三國無双Online」への質問:
ずっとプレイしているのですが,飽きません! プレイヤーを飽きさせないためにどんな工夫をしているのですか?

藤重プロデューサーの回答:
継続的に新しいコンテンツを追加していけるような開発体制を作り上がることが,実は最も大変な部分でした。培ったノウハウは他の作品にも今後活かされていくと思います。

「大航海時代Online」への質問:
12月に実装をひかえた日本の港町ですが,酒場でのメニューはどうなるのでしょうか?

渥美プロデューサーの回答:
ゲームで描かれる時代の日本に実在したものを,考証を行いつつ,よく調べて作っていく予定です。

「三國志Online」への質問:
拡張パックの発売時期や内容について教えてください。

上野プロデューサーの回答:
信Onの渡辺プロデューサーと同じように,自身にプレッシャーをかける意味で,現在開発進行中である,ということを明言します。

「信長の野望Online」への質問:
次はどんな動物をペットにできるのでしょうか?

渡辺プロデューサーの回答:
それはまだいえない
引用元:三國志 専門サイト

2011年3月1日火曜日

莫大な対処件数を誇る不正対策チームは意外と小規模

FFXIグローバルオンラインプロデューサーSage Sundi氏
 CESAデベロッパーズカンファレンス2009(CEDEC 2009)にて,MMORPG「ファイナルファンタジーXI」(以下,FFXI)のグローバルオンラインプロデューサーを務めるSage Sundi氏が講演を行う。タイトルは「FINAL FANTASY XIグローバル運営とRMT対策のすべて」。すなわち,FFXIにおける不正利用者対策を専門に扱うスペシャルタスクフォースの業務内容を中心に,オンラインゲームにおけるグローバル運営や,運営と開発の切り分けといった項目を,具体的な事例とともに紹介していく講演だ。CEDEC2日めの9月2日に予定されている。

 4Gamerでは,講演に先駆けて,Sundi氏から直接その概要を伺う機会を得たので,プレインタビューとして掲載する。また,タイミング的にFFXIの話が中心となるが,無論「ファイナルファンタジーXIV」でも同様のポリシー/コンセプトのもと,活動していくという。


小規模運営でも活動できるよう効率化されたスペシャルタスクフォースの業務


画面はインタビュー内容と関連ありません
 オンラインゲーム運営にとって,RMTをはじめとする不正行為の取り締まりはなかなかに頭の痛い問題だ。放っておいては既存のプレイヤーに損害を与え,その悪評が広まれば新規プレイヤーの獲得も難しくなる。しかし,対策を施すにしてもコスト面の問題が持ち上がる。不正対策システムの導入にかかる費用もそうだし,何より対策スタッフ/チームの維持に必要なランニングコストが大きくなってしまうからだ。
 そのコストに見合う効果があるのか──すなわち,それだけの売上増が期待できるのか。オンラインゲームを運営しているのが企業体である限り,この命題をクリアできない案件は,なかなか実現しないのが実情である。

 それでは,専任チームとしてスペシャルタスクフォースを編成し,24時間体制で不正対策に取り組んでいるFFXIではどうなのか。グローバルに展開する大規模なゲームだけに,さぞ莫大な人員を──すなわちコストを投入しているのかと思いきや,実のところ,そんなことはないとSundi氏は説明する。

「スクエニさんだからそういうことができるけど,うちには無理だとかよくいわれます。でも,そんなことはないんですよ。スタッフの総数は公表していませんが,おそらく想像されているよりも少ないですよ。全然小規模なんです。したがって,中小規模のオンラインゲーム運営チームであっても,できないことはないと思います」(Sundi氏)

 小規模の人数で十分な効果を上げるには,効率化が重要となる。Sundi氏によれば,まず業者も含めて不正利用者は,非常に分かりやすい行動を取る。例えば多くの人にとって,最も身近な不正行為はクライアントの改ざんによるチートだ。すなわち,開発と連携してチートの原因となるクライアントの“穴”を塞いでいくだけで,ログをチェックするまでもなく不正を未然に防ぐというわけだ。

 次の段階は,「ワープ」「寝マクロ」といった不正の取締り。これはログのチェックが必要となるが,ここでも開発との連携は欠かせない。ログのすべてに目を通すのは困難なので,特定の行動のみに絞ったものだけを引き出せるようにするのである。つまり寝マクロでいうなら,同じ場所/一定の時間/反復回数といった複数の条件でふるいにかけて抽出されたログから,実際に不正行為かどうかを判断するというわけである。
 新たに不正の疑いがある行為が発見された場合,最初は実際に目で追っていくしかないのだが,そのパターンを特定し,さらに開発と連携することによって関連するログの抽出までは,ほぼ自動化できるというわけだ。そこから先は,人間の手によって,例えばクライアントの不具合が原因ではないかといったような判断がなされるのである。


不正の内容はインゲームのチート?デュープから現実世界の犯罪へと変化


 Sundi氏によれば,不正利用に関する状況が大きく変わったのは今から3?4年前,大手のRMTサイトが表舞台に姿を見せ始めた頃からだという。それまでは個人の不正行為を防止するために上記のような対策を中心に活動していたのだが,以降は大手業者対策として,RMT取引を行っている証拠を押さえることも始めた。RMTサイトの裏には,必ず“卸業者”がいるというわけで,最初の1年ほどは相互関係を熱心に洗い出し,チート対策同様にチェックの自動化を推進した。

「自動化がある程度進んでからは,対処件数が一気に跳ね上がりました。また月1回だった対処を,週1回に増やしたことも大きいですね。今はデイリーでやっていますが,やはり頻度を上げることは重要です。またチート対策を徹底した結果,業者は大量のアカウント取得して,通常の狩りを行って“商材”を確保するようになったんですよ。したがって,我々もそれらのアカウントを大量に停止せざるを得ない。あんなに大量に停止したら,プレイヤーがいなくなってしまうのではないかと思う人もいるかもしれませんが,実は架空のプレイヤーが入っていて,それがいなくなっているだけなんですよね」(Sundi氏)

 さらに,不正行為はゲーム内規約の違反から,現実世界の犯罪行為へとエスカレートしていく。すなわち,他人のアカウントや盗難クレジットカードを利用した不正なアクセスだ。こうなってくると,もはやスペシャルタスクフォースやスクウェア?エニックスだけの問題ではなくなるので,以前から警察当局と連携を取るための専門スタッフを置いて対応しているという。しかし,そうした対応は経験を重ねるごとに非常に迅速に行われるようになったとのこと。

 また,2008年10月に開始したFFXIのフリートライアルが不正利用にも影響を与えたのではないかと聞いてみたところ,実際に件数は増加したという。業者はフリートライアル期間にあたる14日間で可能な限り多くの商材を集める,スペシャルタスクフォースはそれを72時間以内に取り締まるという攻防が繰り広げられている。
 そもそもフリートライアルは,より門戸を広げることで多くのプレイヤーにメリットを与えるという目的で始めたもの。それを休止してしまっては本末転倒であることから,Sundi氏は徹底的に戦う姿勢を貫いている。

 ここ最近,大きな問題となっているのは,いわゆる“宣伝シャウト”や“宣伝Tell”。業者の宣伝によって延々と埋め尽くされていくチャットログは,ともすればプレイに支障をきたすこともあり,立派な迷惑行為である。対応策となるフィルタ機能のエンジンとなる部分を先日のパッチとして実装している。これは,迷惑行為となる単語を検知してブロックするものだが,単語は随時追加できる柔軟性を持たせているという。次回バージョンアップ時には,この機能の運用を開始したいとのことだ。


日々の活動は正規のプレイヤーを守るため。プレイヤー自身の協力も不可欠に


 そもそも,FFXIでスペシャルタスクフォースという専門組織を用意したのはなぜか。Sundi氏は,「FFXIが狙われて,組織的な不正行為が流行ってしまったから」と実に簡潔な答えを述べる。

「RMTを“個人の自由”として肯定するタイトルや企業もありますし,それはそれでいいと思うんですよ。弊社としても,不正でなければ構わない。しかし弊社があずかり知らないところで,FFXIのゲーム内通貨が販売されているのは明らかにおかしいでしょう。それは不正なことですし,蔓延すればゲームバランスが崩れますし,違法行為につながる可能性もあり,一般のプレイヤーが安心して遊べなくなります。普通にFFXIを遊んでいる方と,ある意味“仕事”にしている人達が同じ場にいたのでは,おかしなことになってしまいかねません。“ファイナルファンタジー”を名乗っているからには,肯定できるものではない。それはFFXIに関わる者すべての意志です」(Sundi氏)

 当初,不正行為の取り締まりはGM業務の一つだった。しかしGM自体の業務が煩雑になり,また対応策を検討する機会が増えていった結果,専門チームを置く必要性が出てきたという。また,もう一つの目的として,それまではGM個人が対応することが多く,不正対応のノウハウ蓄積を組織ベースで行うことも挙げられる。そうした状況を鑑み
引用元:RF online Z 総合サイト